真っ赤なトマトに含まれるリコピンで骨まで健康に?

トマトに多く含まれる赤色の色素成分リコピンは、健康維持に幅広い効果が期待されており、骨の健康維持にもつながることが分かっています。本記事では、丈夫な骨をつくるために必要な栄養素に加え、リコピンと骨に関する研究結果を紹介します。

01骨を強くする3つの栄養素!

骨に関わる栄養素と聞くと、カルシウムを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。実は、丈夫な骨をつくるために摂るべき栄養素は、カルシウムの他にもビタミンDやビタミンKなどがあります。これら3つの栄養素は、骨を形成する上でどのような働きをするのでしょうか。

まず1つ目のカルシウムは、骨をつくる「もと」となる栄養素です。これは乳製品や魚介類、大豆製品、緑黄色野菜に含まれます。通常カルシウムが骨に取り込まれることにより新しい骨がつくられますが、摂取不足が続くと、血液中のカルシウム量が減少し、不足分が骨から補填されます。その結果として、骨密度が低下し骨がもろくなってしまうため、日頃から十分な量のカルシウムを摂ることが重要です。

2つ目のビタミンDは、カルシウムの吸収を助けることで、骨の成長を促進させます。この栄養素はベニザケやマイワシなどの魚介類、干しシイタケやしめじなどのきのこ類に多く含まれ、日光を浴びることにより体内でつくられる栄養素でもあります。

3つ目のビタミンKは骨の一部のタンパク質に働きかけ、骨形成を促進します。ビタミンKは納豆やほうれん草、小松菜などの緑黄色野菜に含まれます。

一般的に、これら3つが丈夫な骨をつくるために必要な栄養素として知られていますが、これまでの研究で、リコピンも骨の健康維持につながることが分かってきました。

02リコピンを多く摂ると骨折が防げる!?

では、実際にリコピンは骨に対してどのように働くのでしょうか。いくつかの研究結果を見ていきましょう。

研究①:リコピンで骨の破壊が抑制される?
女性は、閉経によって骨と関わりが深いエストロゲン(女性ホルモン)が減少することにより骨密度が低下し、骨粗しょう症を起こしやすくなるといわれています。
※骨粗しょう症についてはこちら

ある研究(※1)では、閉経後の女性がトマトジュースやサプリメントなどのリコピンを含む食品を4か月間継続して飲んだ時の、骨破壊に関する指標を調査しました。その結果、骨の破壊に関する指標は飲用後2か月、4か月の時点で減少していることが確認されました。
一方で、リコピンを含まない食品を摂取した女性では、同指標の変化はみられませんでした。

リコピンが骨の破壊に与える影響

このことから、リコピンを継続して摂ることで、骨破壊の抑制、つまりは骨粗しょう症や骨折予防に期待ができることが分かります。

研究②:リコピン摂取量が多いと、骨折リスクが減る?
また、別の研究(※2)では、閉経後の女性を対象に17年間にわたってリコピンを摂取することによる骨折のリスクを調べたところ、リコピンの摂取量が多い人ほど、股関節や背骨の骨折リスクが低いことが分かりました。

リコピンと骨折リスク

これらの研究結果等から、リコピンは骨の健康維持効果が期待できるとされています。

03効率的なリコピンの摂取方法!

最後に、そんなリコピンの効率的な摂取方法を紹介します。
野菜の中で、グラム当たりのリコピン含有量が最も多いのはトマトです。なんと、次点のにんじんと比較して約118倍ほどのリコピンを含んでいます。 (参考:VEGEDAYオススメは朝or夜?トマトの栄養リコピンを効率良く摂る方法)

このリコピンを効率的に摂取するためには、野菜の調理時に加熱・粉砕することが有効です。リコピンは固い細胞壁の中にある栄養素で、加熱や粉砕により細胞壁を壊すことで栄養素が外に出るため吸収率が高まります。

野菜の細胞壁を壊す「加熱」と「破砕」

また、リコピンは油と一緒に食べることで体内への吸収率がアップします。そのため、トマトにオリーブオイルを合わせるカプレーゼなどのイタリア料理は、特に効率的にリコピン摂取ができると考えられます。

リコピンを豊富に含む真っ赤なトマトを摂取して、骨から健康であざやかな生活を過ごしましょう!