妊娠中の野菜不足が、
乳児のアトピーに影響?
カロテノイドとアレルギーの関係

乳児期のアトピー性皮膚炎の発症に、妊娠中の母親のカロテノイド(野菜・果実などの色素成分)不足が関連するのではないか、という研究が進んでいます。乳児期のアトピー性皮膚炎の発症は、その後のアレルギー性疾患の発症と関連することもわかっており、カロテノイドを豊富に含む野菜が持つ可能性に期待が集まっています。本記事では、乳児期のアトピー性皮膚炎と、妊娠中の野菜の摂取量との関連性について解説します。
01乳児期のアトピー性⽪膚炎とその後のアレルギーリスク
アトピー性皮膚炎とは、増悪・寛解を繰り返す、痒みのある湿疹を主病変とする疾患です。※1 中でも乳児期のアトピー性皮膚炎(以下、乳児期AD)は、⽪膚についた異物に対してアレルギーを起こす「経⽪感作」のリスクとなり、その結果、将来のアレルギー性疾患の発症と関連することが知られています。


02アトピーと
カロテノイドの関係
千葉大とカゴメの研究では、妊婦および子ども(臍帯血・1歳)の⾎液と、⺟乳中のカロテノイド濃度の低さが、1歳時の乳児AD発症と関連していることがわかりました。※2※3また、妊娠中のお母さんの⾎中カロテノイド濃度と、出⽣時の赤ちゃんの⾎中カロテノイド濃度には正の相関があり、妊娠中のお母さんの野菜・果物からのカロテノイド摂取が、子どもに影響していることが⽰唆されました。
つまり、妊娠中にカロテノイドが含まれた野菜や果物の摂取量が少ないと、子どもが乳児期ADを発症するリスクが高まる可能性があると考えられます。
また、ほうれん草やチンゲン菜などの葉物野菜に含まれるルテイン・ゼアキサンチンやにんじんなどに含まれる黄・橙色の色素のα-カロテン・β-カロテン、トマトに多く含まれる赤い色素のリコピンの5つの成分の母体の血中濃度には、特に強い相関が⾒られました。つまり、あるカロテノイドを含む⾷品をよく摂っている人は、他のカロテノイドを含む食品もたくさん摂っている傾向が見られたため、各個人の嗜好性によってカロテノイドの摂取量に偏りがあるのではないかと考えられます。
03野菜のカロテノイドで
アレルギー対策
カロテノイドはトマトやにんじんなどの彩り野菜に含まれている高い抗酸化力を持つ天然⾊素です。ヒトなどの哺乳類は、カロテノイドを体内でつくることができないため、野菜や果物などから摂取することが必要です。
カロテノイドの一つであるβ-カロテンには、隠れジミへの予防効果や、ハウスダストなどによる通年性アレルギー性鼻炎の改善も期待されていたり、リコピンには紫外線を浴びた後の肌の赤みを抑制する研究結果があったりと、カロテノイドはそのほかの効果についても着目されています。
(β-カロテンのその他効果についてはこちら)
(リコピンのその他効果についてはこちら)

04カロテノイドを含む、彩り野菜の簡単レシピ
最後に、カロテノイドを豊富に含んでいるにんじん(β-カロテン)とトマト(リコピン)の簡単レシピを紹介します。
■にんじんジュース※4

・材料
- にんじん:2本(約400g)
- りんご:1個(約300g)
- りんごジュース(100%):200㎖
・作り方
- ①にんじんとりんごをよく洗う。
- ②にんじんとりんごの皮をむき、ミキサーに入るくらいの大きさに切り分ける。
- ③ミキサーに②とりんごジュースを入れて、撹拌したら完成。
※レモンの絞り汁を少し入れてもおいしい。
■トマトのヨーグルトアイス※5

・材料(2人分)
- 完熟トマト:中1個(150g)
- 生クリーム:100㎖
- きび砂糖(白砂糖でもOK):18g
- ヨーグルト(加糖):70g(1個)
冷凍用保存袋:1枚(MかLサイズ)
・作り方
- ①トマトはヘタをくり抜き、反対側に包丁で十字に切り込みを入れる。
- ②鍋に湯を沸かし(分量外)、トマトを20秒ほど入れる。皮がむけてきたら取り出し、氷水に浸ける。
- ③トマトの皮をむき四等分のくし切りにする。
- ④③をボウルに入れ、ハンディブレンダー(またはミキサーやすり鉢など)でピューレー状にする。
- ⑤冷凍用保存袋に④、生クリーム、きび砂糖、ヨーグルトを入れ、材料が混ざるまで袋の上から手でよく揉む。
- ⑥空気を抜いて封をしっかりと閉じ、平らにしてバットにのせる。冷凍庫で2時間冷やす。
- ⑦一度取り出して滑らかになるまでよく揉み、再び冷凍庫で2時間冷やす。
- ⑧取り出して室温に5分ほど置いてから溶けすぎない程度に揉み、かたまりがあればスプーンで崩しながら器に盛り付ける。
彩り野菜を日々の生活に取り入れ、みんなで元気にあざやかな生活を送りましょう!