CFO/CROメッセージ


1. 2024年度の業績について

2024年度の業績は、売上収益及び事業利益において過去最高を記録しました。また、国内加工食品事業と国際事業の売上収益、事業利益の比率が大きく変化し、将来の成長に向け転機の年となりました。
売上収益は3,068億円(前年度比821億円の増収、36.5%増)となりました。国内加工食品事業は、1,557億円(前年度比135億円の増収、9.5%増)となりました。トマトペーストの原材料価格の高騰、円安による影響などを受けましたが、昨年に引き続き行った価格改定や需要喚起策が奏功しました。国際事業は、1,493億円(前年度比711億円の増収、91.0%増)です。新規連結子会社となったIngomarの増分が大きく寄与しています。また、トマト他一次加工事業においては、トマトペーストの販売価格が上昇したこと、トマト他二次加工事業においては、フードサービス企業向けの販売が好調に推移したことが増収の主要因です。
事業利益は、270億円(前年度比76億円の増益、39.1%増)となりました。国内加工食品事業は、155億円(前年度比41億円の増益、35.7%増)です。主要原材料の大幅なコスト上昇に対して価格改定を行ったこと、また、価格改定後の販売数量を早期に回復できたこと、原価低減に積極的に取り組んだことが増益の主因です。国際事業は、139億円(前年度比30億円の増益、28.6%増)です。売上収益の拡大、原材料の価格転嫁が進んだことが増益の主因です。親会社の所有者に帰属する当期利益は、250億円(前年度比145億円の増益、139.8%増)となりました。事業利益からの増加要因は、Ingomar出資持分の段階取得に係る差益(93億円)を計上したことによります。この結果、2024年度は株主配当も当初の予想を上回る形で実施することができました。また、こうした業績を背景に、ROIC※は12.4%と0.8point減少しました。これは、Ingomarの連結子会社化などにより利益は増加したものの、投下資本も大幅に増加したことによるものですが、投下資本と利益のバランスは健全に保たれていると考えています。
※ ROIC :カゴメROICのこと。EBITDA÷投下資本で算出。

2. キャッシュ・フローと財務戦略の考え方について

当社グループは、成長に向けた積極的な投資と充実した株主還元の両立を目指しています。併せて、持続的な成長を支え、大きな変化に対応するためには、強固な財務基盤を維持することが重要だと考えています。キャッシュ・フローの推移は下記の通りです。

●営業キャッシュ・フロー
営業キャッシュ・フローは316億円の純収入(前年度は46億円の純収入)となりました。利益が順調に推移したことに加えて、棚卸資産が71億円減少したことなどにより増加しました。

●投資キャッシュ・フロー
投資キャッシュ・フローは、463億円の純支出(前年度は60億円の純支出)となりました。Ingomarの持分追加取得に伴い360億円を支出したことが主な要因となります。

●財務キャッシュ・フロー
財務キャッシュ・フローは、5億円の純支出(前年度は156億円の純収入)となりました。自己株式の処分等により231億円収入があったものの、短期借入の減少156億円と配当の支払いなどがあったことなどによります。
2024年度の財務指標にて、自己資本比率※は51.3%、信用格付はシングルAとなっています。自己資本比率は、Ingomarの買収による借入により一時的に50%を下回りましたが、自己株式の売却による資金調達により50%に回復しました。これらにより引き続き財務基盤は安定していると考えています。資本効率はROEが15.7%となり、目標の9%の水準を達成しています。また株主還元は、記念配当の10円に加え普通配当6円の増配を行うことができました。第3次中期経営計画期間中の株主還元方針である「総還元性向40%」を確実に果たしていきます。
※ 自己資本比率:親会社所有者帰属持分比率

※ 1株当たり配当額実績:2023年度41円、2024年度57円

3. 自己株式の処分について

当社は、2024年7月に自己株式を処分し232億円を調達しました。本調達資金はIngomarを連結子会社化した際に借り入れた短期借入金360億円の返済に充当しました。
第3次中期経営計画においては、M&Aを含めたインオーガニック成長のための事業投資に300~500億円の投資を計画しました。これは、自己資本比率50%の維持を基本とし、営業キャッシュ・フローと財務キャッシュ・フローを鑑みて目論んだものです。2024年度に実施した自己株式の処分により、これらは概ね達成できていると判断しています。また、将来に向けたさらなる事業投資を可能にするためにも、財務基盤の安定を維持しつつ、資本効率を重視した成長を図ります。
また、今回の自己株式の処分にあたっては、3割を機関投資家に配分し、そのうち8割は海外に配分しました。ロードショーにおいては、機関投資家の皆様からさまざまなご意見もいただきましたので、今後の経営に活かしていきます。

4. ROICについて

当社は資本効率を高める取り組みとして、全社におけるROIC管理を行っており、ROEの向上を目指しています。
社内管理においては、一般的なROICの計算方式は用いず、事業利益に減価償却費を加えたEBITDAをROIC計算の基礎としています。また、ROICツリーを作成し、各部門が自らのKPIを設定することによって、その貢献度を可視化しています。一方、マネジメントレベルにおいては、資源配分を最適化し、持続的な成長を実現する観点から、事業別のROICの分析、向上に努めています。今後もこれらの二つのアプローチにより、資本効率の向上、企業価値の最大化を図ってまいります。

5. リスクマネジメントの取り組みと課題

当社は第3次中期経営計画期間における基本戦略の一つとして、「グループ経営基盤の強化と挑戦する風土の醸成」を掲げています。リスクマネジメントは、この経営基盤を支える柱になると考えています。
直近では、国際事業比率が高まり、グローバルなリスクマネジメント体制の確立が重要になってきている中で、特に海外子会社に対するガバナンスの強化に取り組んでいます。
当社は、会社の重点リスク課題から各組織のリスク課題までを、経営層から従業員一人ひとりに至るまで、それぞれが我がこととして取り組めるよう仕組み化し、経営基盤の強化を図っています。

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